食器類の品質表示項目でよく見かけるボーンチャイナという文字。
「ボーン=生まれる」「チャイナ=中国」という発想で中国製の食器、もしくは中国で企画された製品だと思われている方も多いのではないでしょうか?

ここではボーンチャイナがどのような製品でどのような特徴があるのかをご紹介させていただきます。

ボーンチャイナとは?

ボーンチャイナの名前の由来

18世紀末にイギリス、ロンドンで生まれたボーンチャイナは、「骨灰磁器」とも呼ばれる磁器の種類のひとつで、牛の骨を焼いた骨灰(ボーンアッシュ)を30%~60%含む粘土を主原料として作られた磁器のことをいいます。
つまり、ここでいうボーンとは、Born(生まれる)ではなくBone(骨)の方ということになります。
また、チャイナはそれ以前のイギリスで多用されていた中国磁器に起因すると言われています。

元々磁器は中国で生まれ、13世紀頃にヨーロッパに伝わったとされていますが、当時のヨーロッパではシノワズリという中国趣味のムーブメントが起こっており、中国製の磁器、特に白さが際立つ白磁器が人気となり、遺族たちの間では中国製の白磁器を所有していることが一種のステータスになるほどでした。
このような時代背景もあり、中国発祥の磁器のことをチャイナと呼ぶようになったそうです。

チャイナという名前が付いているけどイギリス発祥の磁器のことなんですね。

 

ボーンチャイナの誕生

そんな中国磁器人気の中、ヨーロッパ各国でも自国で磁器が作れないかと開発研究が始まり、1710年にドイツ、マイセンにてヨーロッパ初の磁器が作られました。

当初その製法は極秘とされていましたが、やがてヨーロッパ全土に広まり、フランスやイタリアなどでも磁器が作られるようになったのですが、イギリスでは白磁器の生産に欠かせないカオリンという白色粘土が手に入らず、白磁器を作ることができなかったそうです。

そこで当時版画家・肖像画家として知られていたトーマス・フライがカオリンの代用品として牛の骨灰を粘土に混ぜて焼成することで透光性の高い乳白色の焼き物になることを発見、ボーンチャイナが誕生することになります。

牛の骨は鉄分がほぼ含まれていないので焼いたときに黒くならないんですって。

 

ボーンチャイナと白磁器の違い

磁器の種類のひとつと前述したボーンチャイナですが、白磁器にはカオリンが使われているのに対し、ボーンチャイナには牛の骨灰が使われているという原料の違いの他、焼成方法や焼き上がりの色味も異なることから白磁器とボーンチャイナは全くの別物という見方をすることもあります。

焼成方法として二度焼成するという点ではボーンチャイナも白磁器も同じなのですが、その焼成温度と炎の種類が大きく異なります。

一般的に白磁器は酸素を多く含んだ還元炎を用い、1.300℃ほどの高温で焼成することで青みがかった白色の繊細で硬い印象に仕上がりますが、ボーンチャイナでは酸素の量が少ない酸化炎を用い、白磁器よりもやや低い温度で焼成することで、柔らかい印象の乳白色に仕上がります。

また、ボーンチャイナは、牛の骨灰に含まれるカルシウムの化学反応により緻密な結晶構造を形成するため、通常の白磁器に比べ約2倍の強度や優れた透光性を持つことも特徴です。

同じ磁器の仲間でも全然違うものなんですね!

 

以上のように、同じ磁器の仲間として扱われることもある白磁器とボーンチャイナですが、原料や焼成方法、色味、特性など様々な相違点があり、ことボーンチャイナに関してはその見た目の優美さと高品質な作りから、高級食器としてレストランやホテルでの使用や贈り物としても重宝されています。

 

おすすめボーンチャイナ製造メーカー

ウェッジウッドなどに代表されるような高級食器のイメージが強いボーンチャイナですが、もっと気軽にボーンチャイナ製品を使いたいという方におすすめなのがコーニッツ(Konitz)の製品です。

コーニッツの歴史

1909年に設立され日常用の陶磁器製品の生産を開始したコーニッツ社は、1953年に東ドイツ共和国(GDR)によって国営企業として統合され、輸出用の磁器製マグカップを主に生産しはじめました。

その後、東西ドイツが再統合された1989年から1992年迄、German“Treuhand”公社が工場を経営していましたが、1994年に“KONITZ Porzellan Gmbh”はプライベートカンパニーとしてヨーロッパでは特に古くて有名なローゼンタールの伝統的な巨匠“Phillip Rosenthal”の孫“Turpin Rosenthal”に譲渡されました。

以後現在に至るまで、ドイツで第1級のカップ専門メーカーとして、お客様の要望を実現する献身的かつ有能な職人の集団を有することで愛され続けています。
特にそのデザインやプリント技術には定評があり、現在ではドイツ国内にとどまらず、欧州各国・アジア・豪州・北米・南米へマグカップを中心としたテーブルウェアを輸出しています。

気軽に普段使いできる磁器製品

ドイツでトップクラスの陶器・磁器製造メーカーとして様々なハイクオリティなコーヒー・紅茶・ココア・エスプレッソ・カプチーノカップを製造しているコーニッツ社ですが、価格的にはお手頃な製品が多く、普段使いのマグカップやコーヒーカップとしてもおすすめです。

是非、一度実際に手に取ってボーンチャイナ特有の質感を実感してください。

※コーニッツ社の製品には、ボーンチャイナ以外の陶器製品や磁器製品もございます。